#1 OPEN THE DOOR!
「とんでもないドラマを見てしまった……」
6月2日の深夜、いや既に3日になって数時間が過ぎた頃、ひとり暮らしの部屋で冗談抜きに震えてしまった。溢れる感情をどこに吐き出したらいいか分からず、途方に暮れた。
その日に録画していた「あのドラマ」の最終回を見たからだ。
「あのドラマ」とは、ネット、特にSNS界隈を賑わせた、テレビ朝日で2018年4月から6月にかけて放送された土曜ナイトドラマ「おっさんずラブ」のことである。
私とこのドラマの出会いは、放送開始日のとあるツイートであった。
そこに書かれた「おっさんずラブ」というタイトル。
「おっさん」と「ラブ」という、およそ組み合わせないであろう、破壊的センスの言葉の並び。
それは、好奇心を強力にくすぐるものがあった。
その吸引力に逆らえず、すぐに視聴予約をした。念のため、毎週の連続ドラマ予約も一緒に。
吉田鋼太郎が田中圭に告白するという、あまりに斬新かつ衝撃的な展開。
美少年のまま美しく成長した林遣都に、ド直球にもほどがある下ネタを言わせる覚悟。
大笑いしながら1話を見終わることになる。
それ以降、テンポの良い話の展開、クセになるような登場人物たちの言葉遣い、軽妙なやりとりが面白く、週末のちょっとしたお楽しみとして見続けていた。
ただ、だからと言ってそこまで深くハマっていたわけではなかったし、毎週焦がれるほど楽しみにするという、特別な存在だったわけでもない。
それにもかかわらず、6話の放送終了後から最終話である7話までの1週間は、とんでもなく長く感じられたし、6月2日の夜に友人との予定が入ってしまったときには、「いかにして帰宅を23:15に間に合わせるか。それが叶わないのであれば、帰宅まではSNSを全て断つことでどうにかしてネタバレを切り抜けることはできるか。なんとかして新鮮な気持ちでラストを見届けることはできないか」を真剣に考えたほどである。
リアルタイムからは少しだけ遅れて見た最終回。
煌々と明るい部屋の中で、深夜にひとり「すごいドラマだ……」と呟かずにはいられなかった。
友人と会い、しこたまお酒を飲み、疲れて帰宅したはずなのに、目は爛々とし、興奮が収まらず頭は冴えて仕方が無かった。
なぜ自分がこんなに興奮し感動しているのか。ドキドキが止まらないのか。
その答えを語るための言葉がどうしても思い浮かばず、ただ自分の中に思い浮かぶその時々の感情を吐露するために、次の日には専用のツイッターアカウントを開設していた。
既にあの日から2か月以上経つが、その興奮は未だ醒めることはない。
当初ツイッターアカウントを作ったのは、言葉にはまとまらないけれど、ひとり心にしまっておくことはできない、溢れ出んばかりの感想を呟くためだった。
しかし、このツイッターによって、既に最終回を迎えたドラマとより深く結びつくことになるという、これまでにない新しく、かつ奇妙な体験をすることになった。
また、それはドラマそのものだけでない。このドラマをとりまくコミュティにも出会うことになる。ツイッターのハッシュタグ「#おっさんずラブ」で流れてくる熱いファン、いわゆる「OL民」の皆さんの考察、様々な創作、料理、手芸、ロケ地めぐり等々……
このドラマにエネルギーをもらい、生み出される数々の作品を見ているうちに、単なる呟きだけではなく、このドラマで感じたことを、きちんとどこかにまとめておきたくなった。
そうなると、私にとってそれはブログではないだろうか。
というわけで、公式ブックが発売となった本日、このブログを開設することにした。
最初のタイトルは何にしようと悩んだけれど、このドラマのブログだったらやっぱりこれしかない。
このドラマが開いた新しい世界と、それに対する醒めやらん興奮に、このタイトルはぴったりだ。
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